勤怠管理をExcelで行ってきた企業は多いでしょう。
手計算に比べるとずっと便利なExcel勤怠管理ですが、「働き方改革関連法」によって残業や長時間労働の見直しが各社で重要視されている昨今では、その限界が浮き彫りになりつつあります。
本記事では、Excel勤怠管理のメリット・デメリットを説明するとともに、新しい勤怠管理の方法として、勤怠管理システムを紹介します。
Excel勤怠管理のメリット・デメリット
Excel管理のメリット
費用がほとんどかからない PCにExcelをダウンロードしてさえいれば、無料で利用することができます。また、後述のテンプレートもほとんどは無料です。
多数のテンプレートが公開されている アルバイト、正社員といった勤務形態に応じたテンプレートがあり、勤怠管理だけでなく給与計算が可能なものもあるため、用途に合わせて導入し、手間を省くことが出来ます。
Webで手軽に使い方を検索できる Excelというメジャーなツールを用いた方法なので、使い方やテクニックが掲載されたサイトが多く、分からないことがあった時に調べやすいです。
Excel管理のデメリット
手間がかかる テンプレートを用いて自動計算することはできるものの、従業員一人一人が毎回出勤・退勤時間を手入力する必要があります。また、管理者は打刻忘れや関数のずれがないかをこまめにチェックしなければならず、実際に不備が見つかった場合には、原因を探すために更に時間を割くことになります。法改正があるとその度にシートに変更を加える必要があるというのも、手間を要するポイントでしょう。
人為的なミスに悩まされやすい 手入力での打刻となるため、前述したような打刻忘れや関数のずれ、あるいは管理者の確認漏れやシートの紛失など、常に人為的ミスが起こりやすい構造となっています。少しでもミスがあれば、修正に手間がかかるのはもちろんのこと、従業員の給料や業績評価が変わってしまい、トラブルを引き起こす可能性もあります。
データが正確性を欠く 厚生労働省は、労働時間の把握のために「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録」が必要だと定めており、いつでも誰でも内容を書き換えられるExcel管理はその条件を満たさない可能性があります。更に、働き方が多様化している昨今では、正確な労働時間を記録するのがより難しくなっているという現状もあります。
トラブル事例
上記のデメリットを踏まえると、以下のようなトラブルが予測されます。
- データの不備が多く、修正のため余計な仕事が増える。
- ミスや不正打刻などにより、従業員に正しい給料が支払われなかったり、仕事への貢献度が見えづらくなって正当に評価されなかったりすることがある。
- 厚生労働省の定める「客観的な記録」という条件を満たさない可能性があるため、場合によっては、企業モラルを疑われたり労働基準法違反となったりすることがある。
勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムには、こういったExcel管理の短所を補う機能が十分に備わっています。
システムを導入するメリット
作業を効率化できる まず、勤怠情報が自動的にデータへ反映されるため、管理者が手作業で集計・チェック・分析する必要がなくなり、手間や人為的ミスが大幅に減少します。また、勤怠管理システムにはアラート機能が搭載されたものも多く、労働時間の超過が起きないよう、未然に対策を講じることも出来ます。 法改正に応じて自動でアップデートされるものが多い点や、給与計算ソフト等の外部システムと連携できる点なども、作業の効率化に繋がる魅力的なポイントでしょう。
適正に労働時間を管理できる 勤怠管理システムを導入すると、ICカードやPC、スマホなどから自分で打刻することができるようになります。そのため、手入力で打刻する際に発生するようなミスや不正を防ぐことができる上、厚生労働省の定める「客観的な記録」を残すことができます。 また、働き方改革以降の労働環境にも対応しており、フレックスタイム制や裁量労働制などで働く従業員の労働時間も、正確に管理することができます。
導入時の注意点
メリットの多い勤怠管理システムですが、注意すべき点もあります。例えば、
- コストが高くなるかもしれない。
- 導入したシステムが自社に合うかわからない。
といった不安を抱いている管理者の方は多いのではないでしょうか。
確かに、勤怠管理システムは、初期費用や月額費用が必要なものが多く、無料・低額のシステムを導入した場合も、機能が不十分でオプションを追加購入することになって、予定以上に予算がかさんでしまうことがあります。
また、いざ導入してみて、求める機能が不十分だったり、従業員が機能を使いこなせなかったり、あるいは自社の働き方に合っていなかったりすると、期待していた改善がなされず、より手間がかかることになってしまうかもしれません。
しかし、こういった問題は、事前に準備しておくことで、ほとんど回避することができます。 自社がどんな機能を求めているのか、予算はどれくらい取れるのかなどを予めまとめておき、その上で、各システムの特徴を比較し、どのシステムが自社に合うのか吟味することが大切です。
Excelとシステムの比較ポイント
出退勤時間の入力 | 情報の集計 | 法改正時の対応 | アラート機能 | 外部システムとの連携 | データの客観性 | 費用 | |
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Excel勤怠管理 | 手入力 | 手作業 | フォーマットを修正 | × | × | × | 0円〜 |
勤怠管理システム | 打刻のみ | 自動集計 | 自動アップデート | ○ | ○ | ○ | 0円〜100000円程度 |
費用がかからず手軽に使えるExcel勤怠管理ですが、デメリットも多く、トラブルの元となりやすい側面が目立ちます。より適切に労働時間を管理するため、この機会に、勤怠管理システムの導入を検討してみるのはいかがでしょうか。