新型コロナウイルス感染症対策や働き方改革の一環として、テレワークが本格的に導入され始めています。勤務時間の短縮やコスト削減といったメリットをもたらすテレワークですが、従業員の勤怠状況や勤務態度が把握しづらく、長時間残業が増加してしまうというデメリットに悩まされている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、テレワークにおける残業管理の方法として、勤怠管理システムを取り上げ、各サービスの機能を比較しながら紹介していきます。
残業管理における勤怠管理システムのメリット
まず、残業管理において勤怠管理システムがどのような役割を果たすのかをご説明します。
システムのメリットとしては、
- 法改正に合わせてアップデートされるサービスが多く、労働時間や残業に関する法令も適切に遵守できる
- 勤怠状況がリアルタイムでデータとして反映されるため、管理者は残業について問題があれば早期に発見し、従業員に注意を促せる
- アラート機能が備わったサービスが多く、従業員の残業抑制への意識が高められる
- 残業許可申請などの申請機能を持つサービスが多く、残業で行う仕事内容の伝達や、必要な残業かどうかの判断がスムーズになり、残業削減に繋がる
といった点が挙げられます。
タイムリーな管理が可能なこと、人ではなくシステムによる制御が多くなることなどが、長 時間残業の対策として効果を上げる要因となっているのではないでしょうか。 特に、実際に従業員が働く姿を見られず、勤怠管理がより難しいテレワークでは、こういっ た機能の必要性が高まると考えられます。
各サービス特徴紹介
次に、5つの勤怠管理システムを取り上げ、各サービスの残業に関する機能を紹介してい きます。
ジョブカン
出典:ジョブカン
ジョブカンでは、時間外労働状況が一覧で確認できる上、36協定超過があれば自動アラートで知らせてくれます。具体的には、36協定について通知したい条件の項目にチェックを入れ、数値を入力すると、設定した時間を超えた際に管理者もしくはスタッフにアラート通知のメールが届くといった形です。
参考サイト:管理者向けアラート通知を設定する – ヘルプ|勤怠管理(ジョブカン)
また、休暇・申請管理の機能(月額100円)をカスタマイズすると、PCマイページやモバイルマイページから残業申請・承認処理が可能であり、2019年4月より施行の「働き方改革関連法」にも対応するなど、九年以上の運用歴の中、新機能を随時追加しています。
参考サイト:残業申請を承認する – ヘルプ|勤怠管理(ジョブカン)
jinjer
出典:Jinjer
Jinjerは、カスタマイズできるアラート機能が特徴的です。上限となる時間を設定した上で、アラート通知を従業員・管理者の双方、または、どちらか一方のみに通知するかや、jinjerの画面上・メールの双方、または、どちらか一方のみに通知するかを選択し、より自社の従業員が使いやすいように設定することが出来るのです。 また、アラートの履歴を一覧で確認したり、発生期間で検索したりすることも可能です。
参考サイト:アラート機能|勤怠管理システムjinjer(ジンジャー)
勤怠管理プロダクトだけでは申請機能は得られませんが、ワークフロープロダクト(月額300円)を追加すると、jinjerの画面上で簡単に残業申請・承認処理ができます。また、不定期ではあるものの頻繁にアップデートが行われており、より適切な管理が可能となるでしょう。
参考サイト:残業申請 – jinjer勤怠
KING OF TIME
出典:KING OF TIME
KING OF TIMEでは、月の残業時間の上限を指定しておくことで、その条件を超過した場合、管理者の画面の該当部分が赤や黄色などで色づけされるというアラート機能があります。アラートは複数設定できるため、例えば残業が月30時間を超えたら黄色、40時間を超えたら赤という風に分けて用意することもできます。そのため、より残業状況が見て取りやすく、働き過ぎを未然に防ぐことにも繋がるでしょう。
参考サイト:アラート機能 | 機能 | 【勤怠管理システム市場シェアNo.1】KING OF TIME(キングオブタイム)
また、追加料金を払わずにKING OF TIMEの画面上で申請・承認機能を用いることができ、申請時にメッセージ入力(申請理由)を必須にする、申請・承認・棄却時に申請者、承認者へメール通知する、といったルールを自社に合わせて設定することが可能です。更に、法改正や利用者の要望を反映させた無料アップロードを年三回実行しており、定期的なバージョンアップが見込めます。
参考サイト:ワークフロー(申請・承認) | 機能 | 【勤怠管理システム市場シェアNo.1】KING OF TIME(キングオブタイム)
マネーフォワードクラウド勤怠
マネーフォワードクラウド勤怠では、働き方改革関連法の定める「時間外労働の上限は月45時間・年360時間」という原則のもと、月の時間外労働時間が集計されて、管理者の画面の表に色づけされます。上限の80%を超えると黄色、100%を超えると赤色のアラートが表示されるしくみになっているため、残業状況やアラートの緊急性が一目で把握しやすくなっています。
参考サイト:働き方改革関連法案 対応機能 | マネーフォワード クラウド勤怠
また、マネーフォワードクラウド勤怠の画面上で残業申請・承認処理することができ、追加料金は必要ありません。働き方改革関連の法改正に合わせて自動でアップデートされる点も魅力的でしょう。
参考サイト:ワークフロー申請方法 | マネーフォワード クラウド勤怠
MINAGINE
出典:MINAGINE
MINAGINEでは、設定した残業時間を超過したタイミングで、マイページやメールにてアラート通知がされます。通知の対象は、全社員・特定の部署・特定の社員から選択することができ、超過した本人だけでなく、部署の責任者に通知を送ることも可能です。
参考サイト:アラート機能(長時間労働対策) | 勤怠管理システムや人事労務サポートならミナジン
また、MINAGINEの画面上で残業申請を行うことができ、追加料金は発生しません。請後は承認者(上長など)へメールが配信されるため、チェック漏れのリスクも回避できます。
参考サイト:深夜残業の事前申請 – 勤怠管理システム | 勤怠管理システムや人事労務サポートならミナジン
Touch On Time
Touch On Timeでは、管理者画面でアラート機能を登録し、残業時間の上限や超過した際の表示色を設定することで、従業員が目にするタイムカード画面や、管理者が確認する管理画面上にわかりやすく色づけすることが出来ます。また、従業員や管理者にアラート通知のメールを送ることも可能です。
参考サイト:通知・アラート機能|機能|勤怠管理システム『タッチオンタイム』
また、追加料金を支払わずにTouch On Timeの画面上で残業申請・承認処理を行うことができ、申請されたタイミングで承認者へ通知メールが届くので、チェック漏れを回避しやすくなります。申請の承認ルートを五段階まで自由に設定可能な点も特徴的でしょう。更に、法改正やユーザーの要望に合わせて定期的なバージョンアップも行われているようです。
参考サイト:ワークフロー(申請・承認)|機能|勤怠管理システム『タッチオンタイム』
各サービス比較ポイント
アラート通知 | 一覧でのアラート表示 | (月額使用料)+残業申請 | アップデート | |
---|---|---|---|---|
ジョブカン | ○ | ○ | (200円)+100円 ※10人以上の企業の場合 | ○ |
jinjer | ○ | ○ | (300円)+300円 ※初期費用100000円 | ○ |
KING OF TIME | × | ○ | (300円)+0円 | ◎ |
マネーフォワードクラウド勤怠 | × | ○ | (400円~)+0円 ※30人以下の企業の場合 | ◎ |
MINAGINE | ○ | × | (1000円~)+0円 ※30人以下の企業の場合 ※初期費用400000円~ | △ |
Touch On Time | ○ | ○ | (300円)+0円 | ○ |
どのサービスにもアラート機能や申請機能、アップデートといった要素は備わっていますが、アラートの形態や申請機能にかかるコストなど、微妙な違いがあることが分かるでしょう。 特に申請機能については、ジョブカン・jinjerの場合オプションを追加する必要があり、注意が必要です。ただし、サービスの基本料金や月額料金もそれぞれ異なるため、それらも念頭に置いた上で検討すべきでしょう。
長時間残業が増加すると、社員の負担になるだけでなく、企業モラルを疑われたり、労働基準法違反となったりするリスクが高まります。テレワークが浸透し、労働時間の管理がより難しくなった昨今だからこそ、勤怠管理システムを導入してみてはいかがでしょうか。