給与計算システムとは、社員情報や勤怠情報をもとに、自動で給与計算を行ってくれるクラウド型ソフトです。働き方改革やテレワーク推進の影響などもあり、近年導入する企業の多い給与計算システムですが、選択肢が多いため、何を基準に選べば良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、給与計算システムのメリットをご説明するとともに、5つの給与計算システムを取り上げ、機能や特徴を比較しながら紹介します。
給与計算システムのメリット
- 経理担当者の業務が効率化される Excelなどで表を作って地道にデータを打ち込む場合、基本給や手当、保険料の控除などを考慮する必要があるため、非常に工数のかかる給与計算ですが、給与計算システムを用いると、必要最低限の設定・入力さえ済ませれば、自動的に給与や税金などを計算してくれます。そのため、業務量が削減されるだけでなく、手入力で生じやすい転記ミスや計算ミスといったヒューマンエラーを防ぐことにも繋がり、業務が大幅に効率化されます。
- 人件費が削減される 経理担当者の業務が効率化されれば、より少人数で給与計算を行えるようになるため、人件費削減に繋がります。また、空いた人員・予算を別の仕事に投じることもできるため、更なる利益創出を目指すことも可能でしょう。
- 利用人数の変更や法改正などに柔軟に対応 給与計算システムでは、利用人数に変更があった場合も継続して利用することができ、より企業の規模感にマッチするようにプランを変更することも可能です。また、税制改正があり給与計算の方法が変化した場合には、自動でシステムのバージョンアップが行われるため、担当者が逐一計算式を変更する必要がなく、常に最新の法令に対応した給与計算システムを使用できます。そのため、将来を見越した長期的な利用が可能になると言えるでしょう。
他にも経費計算システムも下記にて紹介しています。
ジョブカン給与計算
ジョブカン給与計算は、株式会社Donutsが提供する給与計算システムで、社労士監修及び実際の給与計算担当者の声を基に開発されたかゆい所に手が届く機能が魅力的です。
出典:ジョブカン給与計算
機能や特徴
- 細かく便利な機能が豊富に搭載されている
- 給与計算業務をできる限り自動化してくれる
- 他ジョブカンシリーズとの連携により更なる効率化が可能
といった点が特徴的です。
給与計算やWeb明細作成だけでなく、保険料の計算や月額変更届・算定基礎届の作成なども自動で行ってくれます。その際、雇用形態や役職、企業ごとに異なる手当、控除項目を非常に細かく自由に設定できるということもあり、そういった使い勝手の良さには定評があると言えるでしょう。
また、連携可能な他ジョブカンシリーズとしては、「労務管理」「勤怠管理」「経費精算」があります。特にジョブカン勤怠管理との親和性が高く、ジョブカン勤怠管理から勤務データが自動で取り込まれるため、より手間を省くことが可能となります。
料金・プラン
有料プランでは、1ユーザーにつき月額400円で、サポート料金や初期費用は必要ありませんが、月額最低使用量金が2000円(税抜き)となっています。無料プランもありますが、機能に一部制限があり従業員数も5名までと制限されているので、本格的な導入には不向きかもしれません。
Jinjer給与
jinjer給与は、他jinjerシリーズとの連携によるスムーズな運用が可能なシステムです。
出典:jinjer給与
機能や特徴
- システムが苦手な人でも簡単に操作できる
- 導入時および運用中のサポートが充実している
- 他jinjerシリーズとの連携により更なる効率化が可能
といった点が特徴的です。
基本的な給与計算の他に、賞与計算、年末調整、Web明細作成などの機能もあり、どの操作画面もシンプルで見やすくなっています。また、サポート体制はjinjerの強みの一つで、大企業から中小企業まで、企業に合わせた丁寧な対応が期待できます。
連携可能なシステムは主に「jinjer勤怠」「jinjer人事」の二つですが、jinjerでは一つのプラットフォームに人事業務が集約されているため、その他5つのjinjerシステムと併用する場合も、情報の一元管理が可能だという点で非常に便利でしょう。
料金・プラン
給与計算の機能だけを利用する場合は一人当たり月額500円となりますが、勤怠情報(月額300円)、経費精算(月額500円)、労務管理(月額300円)、人事管理(月額500円)といったその他のプロダクトを追加し、必要に応じ組み合わせて利用することも出来ます。 どの場合も、初期費用100000円~が必要です。
マネーフォワードクラウド給与
マネーフォワードクラウド給与は、株式会社マネーフォワードが提供するサービスで、誰でも簡単に利用できることを念頭に作られています。
機能や特徴
- 5つの設定項目だけで簡単に給与計算を始められる
- 連携可能な外部サービスは業界最多クラス
- 金融機関と同レベルのセキュリティ
といった点が特徴的です。
連携可能な外部サービスとしては、「KING OF TIME」「Touch On Time」「SmartHR」といった勤怠管理システム、人事労務ソフトが挙げられるほか、銀行との連携によって給与振り込みをワンクリックで行うことも可能です。また、「マネーフォワードクラウド勤怠」「マネーフォワードクラウド社会保険」といったマネーフォワードクラウドシリーズとの連携もできます。
セキュリティに関しては、個人情報保護の第三者認証として、日本工業規格JIS Q 15001に適合する「プライバシーマーク」を取得済で、情報は暗号化され厳重に管理されます。
料金・プラン
まず、小規模法人向けプランでは2890円/月、中規模法人向けプランでは4980円/月の基本料金がかかります。その上で、一人あたり月額300円の従量課金が必要となるため、30人以下の企業の場合は、月に400円〜での利用となります。
フリーウェイ給与計算
フリーウェイ給与計算は、従業員5人まで永久無料の給与計算システムです。
出典:フリーウェイ給与計算
機能や特徴
- 従業員5人までは、利用期間に制限なくすべての機能が利用可能
- 初心者でも操作しやすいシンプルな画面とメニュー
- マニュアル、動画、FAQが充実
といった点が特徴的です。
無料での利用の場合、インターネットとパソコンさえあればソフトを利用できるため、大幅なコスト削減が期待できます。ただし、電話やメールでの有人サポートは受けられませんが、その分シンプルな操作画面と充実したマニュアル等が備わっています。
機能としても、給与計算の他に「賞与計算」「社会保険」「年末調整」といった必要な機能が十分に搭載されているため、小規模や中小企業におすすめです。
料金・プラン
無料版は、初期費用、月額使用料、バージョンアップ料のすべてが無料です。従業員が6人以上になると有料プランとなり、従業員が何人でも月額使用料1980円が必要です。
人事労務freee
人事労務freeeはfreee株式会社が提供するクラウドサービスで、給与計算だけでなく、勤怠管理や入退社手続きも含めて人事労務全般を一貫して管理することが出来ます。
出典:人事労務freee
機能や特徴
- 人事労務全般を一貫して管理できる
- 企業の規模・フェーズに合わせて給与計算の課題を解決
- 各種クラウドサービスとの連携可能
といった点が特徴的です。
給与計算においても、保険料や所得税が自動集計されるほか、「Web明細作成」「年末調整」等必要な機能は搭載されており、企業の規模・フェーズに合わせて料金・機能の異なるプランが用意されているため、より自社に適したサービスが受けられると言えるでしょう。
連携可能なサービスとしては、「会計freee」「Slack」が挙げられ、CSVファイル取り込みやAPI連携によって他社勤怠ソフトと併用することもできます。
料金・プラン
「ミニマムプラン(1980円~/月)」「ベーシック(3,980円~/月)」「プロフェッショナル(8880円~/月)」「エンタープライズ(要お問い合わせ)」の4つのプランがあります。括弧内に記載した金額は従業員3名分の料金となっており、4人目以降は、ミニマムプランでは月額300円/人、ベーシックでは月額500円/人、プロフェッショナルでは月額700円/人が必要となります。
各サービス比較ポイント
新たに給与計算システムの導入を検討している場合、比較基準の一つとして、やはり料金・プランは重要でしょう。
初期費用 | 月額/ユーザー | 最低利用料金 | トライアル | |
---|---|---|---|---|
ジョブカン給与計算 | 0円 | 400円 | 2000円 | 30日間 |
jinjer給与 | 100000円 | 500円~ | なし | 30日間 |
マネーフォワードクラウド給与 | 0円 | 300円 | 2890+ユーザー数×300円 | 1ヶ月間 |
フリーウェイ給与計算 | 0円 | 0円〜 | なし | なし |
人事労務freee | 0円 | 660円~ | 1980円 | 1ヶ月間 |
人事労務freeeやjinjer給与などは比較的料金が高いですが、その分、給与計算以外の人事労務全般がかなり効率的に管理できるというメリットがあります。また、逆に、すぐ導入して使い始めたい企業や、コストカットが必要な小規模企業・中小企業の場合は、フリーウェイ給与計算やマネーフォワードクラウド給与などを導入する方が適しているでしょう。 どの有料サービスにも30日間もしくは1ヶ月間のトライアルが用意されているので、一度試してから正式に導入してみてもよいかもしれません。
自社に合ったサービスをしっかり検討し、より一層業務の効率化を図りましょう。